2021-09-21 お酒を飲むという楽しみ
友達のラジオを聞きながら、お酒を飲むことが生活の中にあるということをほんの少し羨ましく思う。
お酒を飲まないということは自分が選ばなかったことのひとつであるというだけ、なのでほんのり、自分がもしお酒が飲めたらどうだったのだろうということを想像してみる。
行きつけの焼き魚が美味しい小料理屋で常連さんと仲良くなったり(『深夜食堂』みたいに)、家でひとりとっておきのワインを飲みつつ本を読み耽ったりしたのだろうか(…というありきたりな場面しかイメージできない)。
世界にはこだわり抜かれたものや、長年かけて積み上げられてきたもの、とっておきの秘されたものがあって、もちろん自分がそれを作れる側になれるのも良いことなのだけれど、自分にはたどり着けなかったその何かを手にすることができるような大人になるという選択肢もあったはずだ。
そこにたどり着くためには自分の側にそれに見合うだけの準備が必要で、わたしはそういうことをあえて飛ばして生きてきてしまったので、いいねえ、と惚れぼれ目を細めるだけなのだが。
いつかおとなになればお酒が飲めるようになるのだと思っていたが、そうはならなかったな。
子供のころの「大人像」とずいぶんかけ離れたまま今に至るけれど、いったい私は何を積み上げてきたのかな。
こうして見回しても自分の部屋は小学生の勉強部屋みたいにがちゃがちゃしているし、水筒でお茶を飲んで飴を食べたりしているし、稽古着だかパジャマだかわからないようなものを着ているし、何かに熱中しすぎていつのまにか足をきんきんに冷やすし。